そぞろ食歩記

笑ったり食べたり浸かったり

築地ペッパーズカフェで悪魔のサンド

日曜日の築地です。緊急事態宣言中ということもあり、今週も閑散としています。今日も裏路地で朝ご飯を調達。
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誰もいないからイートインでも良かったのですが、あまりに天気が良いのでテイクアウトにしました。

Tsukiji Peppers Cafe さんの、悪魔のサンド(Devil's Sandwich)をビタワンとはんぶんこで。ペッパー入りレモンスカッシュも。
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こちら、BBQ チキンチーズ&ペッパーにベーコンとダブルマヨを追加したものです。

 

キッチンで完成直後に、写真を撮らせて頂きました。

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クマ「出た!カロリー爆弾!」

優子さん「大丈夫、これ胸肉だから」

クマ「え?何の言い訳!?」

 

さて、悪魔サンドで摂取したカロリーを消費しましょう。
せっせと走って隅田川テラスを上り、先週の宿題をやりに向島へ。

melonpankuma-rakugo.hatenadiary.jp

向島弘福寺到着。例の築地別荘「江風山月楼」の持ち主である、稲葉美濃守正則公が開基です。本尊は釈迦如来。お堂の中に金色の布袋像も祀られています。

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本堂に向かって右手にある小さな石造りのお堂に「咳の爺婆尊」が祭られていました。
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新しく「かぜ除け コロナ封じ」の札がありました。

念願の「咳の爺婆尊」がこちら。お堂のパッチワークのような石積みは、切り出した際にできる筋模様がさらに柔らかい雰囲気を作っています。
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『江戸名所図会』にあったとおり、爺像と婆像の一対が鎮座していました。爺像と婆像、どちらも穏やかでよいお顔をしています。
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ビタワンが築地の布袋像とそっくりだと言いました。あぁ確かに団子っ鼻が似てるね。でも彫りが全く違うので、作者は別でしょう。

 

さて、古き日本の婆像といえば三途の川の奪衣婆です。奪衣婆像は必ず片膝を立てて描かれるので、この爺婆像とは関係ないと思ってました。というのも、私はこの大きな方を婆像だと思い込んでおりましたので。言い訳をすると、ネットで見つけたこれこれにそう書かれていたからなのですが。

普通に考えて、爺婆像をセットで彫るなら大きい方が爺像になるはず。であれば、小さい方が婆像……なんだか片膝立てているように見えてきた。

 

これが奪衣婆なら話は簡単。各地で奪衣婆の婆像は咳止めとして祀られています。つまり、「関の婆」が「咳」に転じたという話です。

 

築地の婆像=奪衣婆説をもう少し深堀りしてみたら、柳田國男が『日本の伝説』で「咳のおば様」を書いているのを発見(青空文庫)。さらに、こちらから江戸時代後期に書かれた『十方庵遊歴雑記五編』にたどり着きました。

十方庵遊歴雑記 中の第八 稲葉家咳の願爺嫗の石碑を読むと、嫗像(婆像)は軽く左を向いてうずくまり、綿帽子のようなものを深くかぶり、両手を袖の中にいれて膝の上に置いた姿。顔は柔和で丈二尺ばかり(約60センチ)と書かれています。

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一方で爺像はというと、丈三尺(約90センチ)ばかりで嫗像より一回り大きく、被り物をして立膝し両手を袖の内に入れて膝の上においてかがみ込む姿。顔は優しからず口をんでいるとあります。

 

これを読むに、大きな方が爺像で小さな方が婆像かなと思えてきます(となると、爺像が立膝ついていると書かれているところが、再び事実と異ってきますが…)。

やはり、自分で調べるって大事ですね。

なんで爺婆像といいつつ一体しかないんだろう。なんで布袋像なのに咳の爺婆像と呼ばれているんだろう、なんで咳除けなんだろう、なんで小さい方が爺像なんだろうといった、二週に渡った謎の数々が解けてすっきりしました。

 

※後日、爺婆尊をさらに詳しく調べに行きました。

melonpankuma.hatenablog.com

 

弘福寺のお隣は長命寺です。当然、長命寺の裏にある山本やさんで、かの有名な桜餅を買います。
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陽が高くなって暑くなりました。帰りは電車にしましょうねー。